タイフェスティバル東京2024 (3)タイドラマOSTがたっぷり!

タイ音楽

山麓園太郎です。サワディーカップ!

前回Tay-Newまでお届けしたのでいよいよBoy Sompobからレポートを続けますが、Tilly BirdsやWWWXでのThe TOYS/Bowkylionまで駆け足で書き進める代わりに、写真の枚数を削るつもりはさらさら無い事を最初に申し上げます(笑)さぁ行くぞ!

タイ沼の先輩の皆さんには説明不要の、タイドラマOST職人Boy Sompob。「職人」という言葉の堅実なイメージ通り、彼の曲の数々は真摯に台本を読みこみ、その作品のために丁寧に書き上げたスペシャル・メイド。しかも闘病を経てのタイフェス東京出演です。

貝の飾りのついた特徴的な衣装はバンコクのブランド、Leisure Projectsのブラック・シーシェル・ジャケット(3,290バーツ)。素材はツイードです。プロンポンのエムスフィアのMフロアにショップがあるそうです。

前日のリハーサルでも大使館のパーティーでも、そして今日のこのステージでも「Shake」を聴けましたが、どんな場所でも彼の歌に対する姿勢は変わりません。音楽に集中して自分の持てる力を100%発揮する。健康を取り戻した彼が、ひとつひとつの瞬間をどれほど大切に感じているかが分かったステージでした。

続いてToptapくんの登場です。

今年彼が着た衣装はタイのテキスタイルを使ったファッションブランド ablankpage.のもの。ゆったりしたシルエットと色柄で遠目には浴衣のようにも見えるのが、日本でのステージに良く合います。

そしてなんともヘビーデューティーな靴!(男は足元)
でもこのコーデのシルエットならこの位のボリューム感の靴じゃないと締まらないからナイスチョイス!

ところで!Toptapくんの後ろで撮影中のこの方に注目してください。

そう、ジンバル付きのカメラを抱えたこの方。誰だかご存じですか?

映像作家/写真家のジャイテープさん。そしてもうひとつ作曲家の肩書も持っています。チューレン(タイでのニックネーム)はKong。

そう、映画「2gether THE MOVIE」の劇中BGMを作ったのがこの人。つまりToptapくんとジャイテープさん、2getherに縁のある2人が意外な形で同時にステージに立っていたんです。ファンの中には気が付いた方もいたでしょうね。

ジャイテープさんはタイフェス東京の記録映像の撮影班としてリハーサルからフェスに密着。「めちゃくちゃ忙しいです!」と僕にこぼしていました(笑)

今年のタイフェスに出演した俳優さんの中でカップルではなくソロでステージに立ったのは彼だけでしたが、Scrubbの曲が多かったりファンサもマメにしてくれて、カップル間の掛け合いがなくても楽しい時間でした。

実はKeng Tachayaのステージは以前見ています。2017年に浜松で。「ASIA MUSIC FESTIVAL」という、タイのTachayaだけでなくインドネシアやベトナム、もちろん日本のアーティストも出演するイベントでした。

2017年、浜松でのTachaya

ASIA MUSIC FESTIVALではバンド編成での生演奏。タイフェスではカラオケ音源+ダンサーなどパフォーマーを配置したステージでしたが、弓で弾くタイの民族楽器(ソー・ウー)奏者の女性はタイフェスにも出演でした。

ASIA MUSIC FESTIVALの時はもうSOTUSの主題歌を歌っていた時期です。この頃はまだタイドラマに注目してる人は誰もいなくて(!)その曲は歌われませんでしたが、ステージでは既にタイの伝統的な楽器と舞踊、そこにモダンなサウンドを組み合わせた彼独自の個性が確立されていました。ちょっと風変わりだけど、楽しかったです。

浜松駅近くの「ソラモ」というイベントスペースでのライブでした

今回はその楽しさを引き継いだままSOTUSの主題歌も歌ってくれて、衣装も演出も凝りに凝ったもの。フェス全体を見渡しても、屈指のエンターテインメント性の高いステージだったと思います。

彼がSOTUSの主題歌を歌った時の客席の熱狂的な反応は、Tachaya自身の想像を遥かに超えていたようです。ファンの皆さんも気付いたと思いますが、目を潤ませて今にも泣きそうになる瞬間がありましたね。

有名アーティストなら誰にでも「自分のキャリアの分岐点となる曲」があるものです。彼はSOTUSに関わった事でタイ国外からも知られる存在になりました。これからもこの曲を大切に歌い続けて欲しいと思います。

続いてMuzik Moveレーベルの3組による共演です。最初はCopter

僕もギター弾くので、機材が気になってつい撮りました(笑)。足元の機材はLINE 6のPOD Go、ギタースタンドはHERCULES 。

日本ではまだ余り知られていませんが、とても美しいメロディを書く人です。3RD Tilly Birdsとの共演曲もあるので聴いてみてください。

そしてこの曲で、3RDのパートを歌うためにステージに呼びこまれたのが「My Engineer」や「Y Destiny」出演で俳優としても知られるTalayでした。

代表曲は「Hush」。切ないMusic Videoも見てください!

そしていよいよSerious Baconが登場です!

タイ大使館で僕が彼らにインタビューした際には多くのメディアの皆さんが集まっていて、T-POPのバックボーンに90年代J-POPがあり、MuangくんもX JAPANやラルクやカシオペアを聴いて育った事にそのあたりドンズバ世代の皆さんが興味を持ってくれたようで、フェス会場にも例年より多くの取材依頼が来ていました。良かった!

さぁ、この代々木で聴かせてよ、バンコクの新しいシティ・ポップを!

リラックスして楽しそうなCakeちゃん

あら~MuangくんのメガネってばPRADA~!

Muangくんの靴と機材(男とギタリストは足元)。小さな機材1台だけ。でも実はこれ「Neural DSP QUAD CORTEX」という30万円位するやつで、ロックやポップスの歴史を刻んできた数々の世界各国のエフェクターやギターアンプの音響特性をデジタルでシミュレートして、自由に組み合わせてPA卓に直接送れる、という凄い機材です。

初めての海外ステージだから緊張してる、と言ってたけど始まればいつもタイでやっているように楽しく、まっすぐに。これが彼らの魅力です。最後にCopterとTalayを呼び込み全員で歌っていると・・・

Copterが客席を見て笑いながらステージから降りてきました。

お客さんがごひいきの歌手におひねりを渡す、というタイあるある発動。Copter儲かった!(笑)

この後はAdoraだったけど、写真は1枚も撮れてなくてすみません。ステージを終えたSerious Bacon/Copter/Talayが大使館のブースに向かうのについていったからです。フォトスポットに4人が揃うとたちまちファンに囲まれて写真撮影と私物サイン会タイムが始まり、まるでタイの音楽フェスと同じようにアーティストとファンが交流する光景が日本でも繰り広げられたのは、凄く良いなと思いました。

代々木会場・初日の締めはTilly Birds。実はこれまでタイで生で見るチャンスをことごとく逃していて、今日が初めてです。でも進行が押していて渋谷WWWXでは間もなくThe TOYSとBowkylionが始まる夕暮れ時。全部観られなくて残念だけど、3曲目が終わったらWWWXまで走ろう!と社長と決めました。

3RD
BILLY
MILO

翌日のWWWXでの公演チケットがソールドアウトしてしまい、せめて代々木でひと目見ようというファンも多かったと思います。ぼかしは入れさせてもらったけど会場の後ろまで満員ですよ。

ドラマのために作られたOSTも良いですが、Tilly BirdsやScrubbのようなバンドの既存曲がドラマを彩るのも良いものです。曲の歌詞やメロディーはそれを聴いた時のシチュエーションと共に人の記憶に残るものですから、10人いたら10人分の「その曲の記憶」がある。誰かにとってはハッピーな曲が、誰かの失恋の苦い記憶と結び付いている。でもそれを普通は皆で教え合わないでしょ?

それがドラマの中で使われる事で、俳優さんが演じるキャラクターの「感情」として流れ込んできて、まるで自分の記憶のように感じられる瞬間がある。原作者や脚本家が曲の歌詞やサウンドとストーリーの共通点を見い出してそこに置く事で、キャラクターの感情が何倍にも増幅される。タイ映画なら「プアン/友だちと呼ばせて」、洋画なら「BABY DRIVER」とか、音楽が物語をグイグイ引っ張ってゆく映像作品ってありますよね。Tilly Birdsもそういう「ドラマに愛されたバンド」のひとつだと思います。

皆さんは初めてのデートで入ったお店でかかってた曲とか覚えてませんか?もしそのデートが楽しい思い出だったなら、タイドラマの同じようなシーンで、頭の中でその曲を鳴らしてみてください。それがJ-POPでも洋楽でも、ピッタリはまる事に驚くと思います。

BILLYのギターはGretsch(グレッチ)のG6129T Silver Jet Double Cut。1962年から1970年にかけて販売されたモデルの、近年の再生産品です。銀色のスパークル塗装が人目を引く1本。彼はグレッチがお気に入りのようで、他のモデルも所有しています。

3曲目「Just Being Friendly」が終わったので泣く泣く会場を離れて渋谷WWWXへ向かう事に。続く「Same Page?」で客席も大合唱してる感動的な光景を、最後まで味わえないのが悔しいけど、こっちの会場はお客さんに任せた!

渋谷の坂道を駆け下りてWWWXに到着すると、既にBowkylionのステージが始まっていました。

初見から歌もルックスも存在感が凄い・・・。コケティッシュという言葉が本来の意味通りそこにある、としか言えません。ドキドキするのに近寄れなくて、でも引き寄せられてしまう。あぁもうなんなのこれ?!

曲「Fever」にちなんで処方薬を模したグッズを客席に投げるプレゼントも

彼女のコーデですが、羽織っているのはロンドンのブランドHOUSE OF SUNNYの City of Angels Peggy faux-fur trim knitted cardigan、中のハート型クロップトップはOh POLLYのSYRENE(BlackpinkのLisaが着てたのは同じ形だけどAreaのCrystal Trim Heart Top)、スカートはNana JacquelineのTeresa Mini Skirt Denimです。

「Fire Boy」が中盤に差し掛かる頃、彼女がステージに招き入れたのがThe TOYS

Bowkylionがサビを作詞作曲者本人に歌わせようとするんだけど・・・

頑なに歌わないThe TOYS(笑)

彼にまとわりつきながら胸や腰を揺らして挑発するBowkylionから目をそらして、自分の手元しか見ないThe TOYS(笑)

これネタじゃなくて本当に彼がシャイ過ぎるんだ!

そのままThe TOYSのステージへ繋がっていきました。

ギターはCandy Apple Redというカラー。りんご飴ってことですね

The TOYSが手にするギターはNanonくんも愛用するJames Tyler GuitarsのStudio Eliteシリーズの「HD-P」というモデル。Nanonくんのモデル「HD」にはバッテリーと電子回路が内蔵されていて、手元のノブ操作で中音域を強力に持ち上げる事ができますが、The TOYSのモデルはシンプルで音量調節と高音域をカットして音色を甘くするノブだけです。

こちらがNanonくんのモデル。Cat Expo 10にて

想像ですが、コードをかき鳴らすスタイルが多いNanonくんにはコード弾きの抜けや煌びやかさを手元で調節できるモデルが使いやすく、超絶技巧のタッピングプレイもこなし足元の機材が多いThe TOYSにはギター本体の操作系は逆にシンプルな方が使いやすいのでしょう。もちろんどちらのモデルもプロ仕様、価格は150~130万円位です。

再びBowkylionがステージへ。カーディガンを脱いでクロップトップだけなのでいよいよドキドキして困りました・・・(笑)

タイフェスの代々木ステージは次々色々なアーティストが出てきて楽しいし無料だしお祭り感があって良いけれど、WWWXの照明や音響の素晴らしさはBowkylionとThe TOYSの音楽を更に魅力的に客席に届けてくれます。ライブハウスが少ないタイから来た2人にとっても、この場所は特別だったはず。

共にタイ本国ではフェスのヘッドライナークラスの2人をこのライブハウスの距離感で、良い音と快適な空調と駆けつけたファンのvibesが作る居心地の良さの中で体験できたのは、本当に幸せな事でした。

だから明日ここでTilly Birdsのライブを体験できる人たちもきっと幸せだね、と社長と話しながら深夜の渋谷の坂をもう一度上って、初日の後片付けが進む代々木公園を通り抜けて宿泊先に帰りました。

次回は日曜日のOff-Gunのレポートからです!

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