山麓園太郎です(涙)。サワディーカップ(涙)。
なぜ泣いてるのか?コロナのせいで「Cat Expo」に今年は行けなかったからです。このブログでも第5回(2018年)と第6回(2019年)の記事を書いてますけど、もともと第3回から欠かさず見に行っております。
タイのインディーズ音楽専門ラジオ局「Cat Radio」が主催する、デビュー間もない新人から大スターまで、アイドルも含めたオールジャンルの出演者で繰り広げられる2日間のフェス。タイポップス推しの僕にとっては「推ししかいないフェス」で、つまり「この世で一番好きなイベント」ということになりますけども・・・
11月21日。毎年一度の「推しに会いに行ける日」が失われた喪失感が押し寄せる中、僕はあえて現地時間に合わせて出演者(推し)たちのSNSをチェックした後、向こうの開演と同時に、買ってきたDVDを部屋で見ました。
竹内まりやさんの初商品化されたライブ映画。
僕は「竹内まりやさんの公演チケット(超プレミア)抽選に当たっちゃったので泣く泣くCat Expoをあきらめて、東京でコンサート開演前の客席からタイのアーティストたちの動向をチェックしてる自分」を演じ切ることにしたんです。おかげで乗り切れました(笑)。Cat Expoをあきらめる理由にするには、竹内まりやさんかポール・マッカートニー位の大物じゃないとね!
僕がラジオ番組やSNSであんまり「Cat Expoスゲー!」って言うもんだから中には惑わされる人も出てきて(笑)、去年の第6回には僕の知る限り7~8人日本から行きましたから、実際にはもう少し多い日本人がこのフェスに行ったことあったり、名前を知っていたりすると思うんですが、今回は更に興味持ってくれる人を増やして、来年こそ行ってみようよ!何なら一緒に行こうよ!という気持ちで、日本からリモートで今年の様子を振り返ってみたいと思います。
タイの音楽について何も予備知識が無くても、あなたが大の音楽好きで、サマソニやフジロックを毎年楽しみにしてるタイプの人ならきっとCat Expoも楽しめるはずです。そう言い切れるポイントをこれからお伝えしますから、どうぞお付き合いください。
1:Cat Expo 7 の概要
国内でのコロナ感染爆発を防いだタイでは、初秋あたりから観客を入れてのコンサートやイベントが再開されるようになりました。もともとCat Expoは乾期で過ごしやすくなる11月の下旬に開催なので、延期もなく予定通り開催されたわけです。
会場はWonderworldという廃業した遊園地跡。前回の会場だったSiam Amazing Parkから例年の会場へまた戻った形です。一方例年と違った点は、チケット発売枚数が少なかった(ソーシャル・ディスタンスのため)のと、海外からの出演枠が消えた、というどちらもコロナの影響を受けてのものでした。2日間で116組が出演しました。
この会場は入口から一番奥のステージ1まで500m位というコンパクトさなので、ステージ間の移動が比較的楽なんです。ステージ1から3までが大観客対応。ステージ4と5はライブハウス程度の大きさです。例年はステージ5の横に見える丸い建物でクラブ系のDJセットも行われていましたが今年はコロナ対策のため中止でした。ステージ1と2の間にあるのが物販ゾーン。ステージ2の隣がフードゾーンです。
会場中央には観覧車がありますが乗れません。ここは既に廃業した遊園地でメリーゴーランドも垂直落下の絶叫系アトラクションも全て残骸。かつては着ぐるみのショーなどが行なわれていたステージや駐車場をCat Expoの開催中だけフェス会場に作り変えるんです。しかし、このアトラクションの残骸たちがフェス感の演出に一役買っていますね。
2:日本のフェスとの決定的な違いとは?
Cat Expo出演者は洋楽や、洋楽の影響を強く受けて以降のタイポップスを聴いて育った世代が多く、様々なジャンルはあれど音楽性で言えばサマソニやフジロックに出演する日本のアーティストとの大きな違いはありません。冒頭で「もしあなたが音楽好きなら予備知識無しでCat Expoに行ってもきっと楽しめる」と書いたのはこれなんですが、サマソニやフジロックより楽しいのは「もし会場で聴いて気に入ったアーティストがいたら、物販ブースに行けば大抵会える」ってとこです。
例えばひとつ前の「サバーイなバンド」の記事で紹介したThe Kopycatの物販ブースには、バンドメンバー本人たちとサポートメンバーのPak(元Jelly Rocket)が。
2019年のサマソニ東京に出演するなど、既に日本を含め世界で人気を得たPhum Viphuritも。
同じくサマソニ出演で日本盤アルバムが売れまくったTELEx TELEXsも。ブースに来たファンと交流しながらCDやグッズを直接売り、サインや写真撮影にも応じてくれます。日本で言えば「まさかの本人降臨&神対応」ということになりますがCat Expoではこれが普通。
日本では現在「2gether」というTVドラマが放送されたのをきっかけに「タイBLブーム」が起こっていますが、そのドラマで使用された楽曲を歌うSCRUBBもブースに!「#SCRUBB」のハッシュタグがTwitterで世界トレンドになっちゃった位ですから、もしコロナさえなかったら、SCRUBBに会いにCat Expoに行くつもりだったタイBLファンの人も世界中にきっといたはずなんです。
もちろんアイドルの皆さんもブースに来ます。こちらはBNK48卒業生で今やマルチタレントのJanChan。
例外として「収拾がつかなくなっちゃう位の大スター」であるSTAMPやBNK48はブースを設けませんが、POLYCATやThe Parkinsonといった大物クラスでも時間を区切ってブースにやって来ます。レーベルに所属していないバンドだと自分の出番以外ずっとブースで店番してることもある。
「本人から直接CDやグッズを買う」というこの行為には、日本では地下アイドルの世界を除けばあまり味わえない「アーティストを直接サポートしてる感」が溢れまくっています。日本では物販コーナーにはツアースタッフさんか地元のCDショップの方がいるだけで、たとえ何万円買い物しようとも本人の懐に現金が入っていくのは想像しにくいけど、Cat Expoでは自分が払ったグッズ代で明日バンドのメンバーが楽器屋でギターの弦買ってそうな、アイドルが明日スタバでキャラメルマキアート頼んでそうなリアルな予感があります。そして本人と会ってるんですから簡単な英会話(あるいはタイ語)で応援や感謝の気持ちを直接伝えることもできる。アーティストもファンもHappyです。
ブースで販売しているグッズはもちろんCDやTシャツが多いですが、缶バッジやステッカー、ポストカードセット等アーティストごとにまちまち。例えば要注目のガールズポップグループFEVERの場合には・・・
カセットテープ型のレトロなキーチェーンやフェイスマスクが。FEVERはファンが多く、さすがに物販スタッフを分けていますが買った後にはこうしてメンバーと交流の時間が持てたんです。
他にも「フェス飯が安い(日本円で150~300円!)」とか、「ダイブやモッシュがないから安全」とか魅力ポイントは多々あります。逆に日本から参加する場合にネックになるのは「チケットの購入」と「会場への交通手段」ですが、実はチケットは「Thai Ticket Major」という大手チケットセンターで日本からも買うことができます。既にK-POPのファンの皆さんの間ではBTSやSEVENTEENのワールドツアーのタイ公演のチケットを取って見に行くなんてのは当たり前になっていて、ネットで検索すると買い方について詳しく解説してくれているブログが沢山見つかります。また会場は郊外にあり公共交通機関が使えませんが、スマホの地図やGoogle翻訳を駆使すれば行き帰りはタクシーでOK。高速道路の入口が近い駅まで電車で移動すればなおスムーズ。まぁこの辺のことは、来年またタイへ行けるようになったらもう絶対「Cat Expoの歩き方」っていうタイトルでブログに完全ガイドを書く決意なのでそちらをお楽しみに!(笑)
3:今年はどうだったの?
今年一番珍しかったのは「初日が雨にたたられた」という事でした。この時期のタイは乾期で雨もスコールも殆どないんです。僕も過去4回の参加で、Cat Expo前後で毎回5日間位滞在して雨の日は一度もないのに、です。これは間違いなく、僕を含む「行けなかった日本勢」の怨嗟の声が天を刺激しちゃったとしか思えず、申し訳なかったと思っています(笑)。中でも夜の部で降った大雨はステージを中断せざるを得ない程の激しいもので、人気シンガーSingto Numchokのセットがたった1曲で終了。続くCGM48も影響を受けました。写真でもモニタースピーカーがシートで覆われているのが確認できますね。
幸い2日目は天候も回復し、多くの音楽ファンが来場して楽しんだそうです。公式が公開したダイジェスト動画と、いくつかステージの写真をご紹介しましょう。
4 : 2021年(のCat Expo)はどうなるのか?
コロナのせいで音楽フェスに限らず、そもそも日々の暮らしからして先が読めない状況ではあるんですが、僕は直前までCat Expoをあきらめなかったし、2021年(予定)の第8回にも期待を持っています。まぁ飛行機が飛ばなきゃどうにもならないんですけどね。おそらく例年通り11月の下旬に開催で、初夏の頃に最初のアナウンスとチケット販売があり、後はコロナウイルスとの勝負の行方次第といったところでしょう。会場はまた変更の可能性があるかもしれません。
2020年はステイホームやテレワークで思いの他、家で音楽を聴いたという人が多いんじゃないでしょうか。不安なニュースばかり見て沈む気持ちが、音楽で少し楽になったという人が。
僕は2011年の東日本大震災で、直接被害を被ったわけでもないのに不安なニュースばかり見たからか気持ちが相当沈んでしまったところで、現実逃避に向かったタイでタイポップスを聴いて気が楽になり過ぎて(笑)、当時のハイテンションのまま「どうしたらいいか分かんないけど、こんないいものは世間に広める!」とこの活動を始めました。
僕みたいに「音楽に人生変えられた」くちじゃなくても、多くの人にとって音楽は常に身近に感じられるもののひとつですけど、他の国には他の国の音楽があって、何を歌っているかは分からなくてもその音は考えるより先に耳に飛び込んできます。
TVの音楽番組で流れたり、ショップで売ってるもの以外の音楽をちょっと聴いてみようか、あなたがそう思った時には膨大な選択肢が広がるわけですが、その中にタイポップスを加えてもらえたらかなりの確率で目からウロコな発見ができることは保証します。その後、いつかまたタイ旅行が自由にできる時期がきたらぜひ、タイポップスに能動的に触れる楽しさを体験してみてください(駅周辺のショッピングセンターでの無料ライブが数多く行われています)。その先にCat Expoはありますから、いつか会場で「日本から来ちゃいました!」と声をかけられる日を楽しみにしています。声をかけてくれた人にはドリンク1杯おごりたい位の気持ちですが、そして実際にそうするでしょうが、いつかその人数が凄いことになり過ぎて「ごめんなさい!先着〇〇名様までで!」とお断りしなきゃいけない日がくるのをもっと楽しみにしています。皆さん良いお年を。
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